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スランプトランプスカンク・・・

絵がなかなか仕上がらないので変わりに小話。今回はギャグです。
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人の数だけドラマがあるというように 名前の数だけ物語があるとしよう。


例えばそう、愛する貴方が永遠に失われた場合 僕はその傍で涙を流し、君への愛を囁くのだ。どんなに数が増えようと、いくら世代がかわろうと、君の名前は消えやしない。僕の君への愛は変わりはしない。一緒に戦ったあの頃を 僕は忘れはしないのだ。
嗚呼、愛しき貴方へ。


例えばそう、愛する貴方が活躍したとき。私は自らの美と君の素晴らしさを大々的に唱えよう。指先から離れ 美しい放物線を描き私の元へ舞い戻ってくる君へ。私を輝かせ 優秀へと導いてくれる君へ。溢れんばかりの甘い愛を捧げようじゃないか。
嗚呼、愛しき貴方へ。


例えばそう、愛する貴方が目的を果たした時。覗き込む楽しみを私に与えてくれる。某委員会ばかりを捕らえれば それは君を紹介する手段に変わる。適当に付けた名前だけれど、タコさえ付けば全ては愛しさに変わるのだ。
嗚呼、愛しき貴方へ。





例えばそう、―――





「ごめん、何の話?」
どうやら視線が自分に向いていることに気付いたタカ丸は途方にくれた。先程から部屋に響き渡る甘い台詞を ただぼんやりとわけもわからずに聞いていただけなのだが、突然その話題が自分へと向くとは。
「…タカ丸さんは名前付けてないんですか?」
大量の火気(残念ながら名前は未だに覚えていない)に囲まれた三木エ門は 愛用の火縄銃を胸に抱えタカ丸に尋ねる。
「名前って、誰に。」
心底話題を理解していないタカ丸には到底不可思議な質問。
「愛用の武器にですよっ」
額に手を当て自慢げに掲げているのは、彼愛用の戦輪。指先でクルクル回しながら、こちらへと見せつけてくる。
「この子は素晴らしき私の相棒、リン子です。」
「滝夜叉丸!何勝手に貴様だけ紹介してるんだ!タカ丸さん、こちらさち子4世で、こっちがカノ子2世で…」
「三木エ門!貴様 でしゃばりすぎだぞ!愛しき物は一つだけだからこそ価値があるのだ!」
「戦輪しか扱えないお前に言われたくないわっっ」
「なんだと貴様ー!」


「………綾部喜八朗くん。」
「なんですかタカ丸さん。」
いつものごとく始まった二人の喧嘩をよそに、タカ丸は部屋の隅にぼんやりとした様子で座っていた喜八朗へと近づく。
「君も何かに名前付けてんの?」
もしかしてその穴掘るシャベル?と指さしてみれば 違います、と以外としっかりした声が反ってくる。
「タコ坪に。」
「タコ坪?」
タコ坪って、確かあの小さめの落とし穴だったかな 等とタカ丸が思考を巡らせていると 喜八郎は自らの指を折りながら数をかぞえはじめる。
「…軽く百はありますね。」
ぼんやりと天井を見上げ、ボソリと呟かれた喜八郎の数字にタカ丸は驚いた。
「百って…っ まさかそれ全部に名前付けたの?!」
「付けましたね、まぁ皆"タコ"が付いてた事しか覚えてませんけど。」
それでは何の意味もないだろうが と喧嘩をしつつも聞き耳を立てていた滝夜叉丸と三木エ門は心の中で毒付く。タカ丸はその数字の壮大さにただただ驚くばかりであったが。
「すっごいんだねぇ…愛着がわくとか?」
「さぁ、ただ自然の流れで。」
不可解な回答も最早彼の前では名言へと化している。
「自然の流れかぁ、かっこいいなぁ。」
「タカ丸さんも付けてみてはどうですか。例えばその櫛とか。」
喜八郎は懐を指差す。タカ丸は自らの懐から愛用の櫛を取り出した。
「これ?」
「そうです、なんて付けます?」
「うーん…、櫛だから…くっしー…とか?」
「かわいいじゃないですか、くっしー。最高ですよ。」
「そうかな?そう言われるとかわいいかも。」
くっしー、くっしーと手元へ囁くと、その名前がさもこの櫛の為だけに存在するような錯覚に陥ってくる。
「くっしー、くっしー。うん、いいねっ!君は今日からくっしーだ!!」
タカ丸はそう叫ぶと 喜八郎と共に"くっしー"と名付けられた櫛を大きく掲げた。





例えばそう、愛しき貴方に 名前が付いたとき―――。

<fin>

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●4年生ならなんでもありだと思ってます。私のセンスの無さをどうか笑ってください。
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